艦船ニュース
カナダ海軍向けの砕氷警備艦AOPS(Arctic and Offshore Patrol Ship)こ とハリー・デウォルフHarry DeWolf級の4番艦ウィリアム・ホールWilliam Hall(AOPV433)の就役式典が,5月16日にハリファックスで挙行された。引 渡しは2023年8月に行なわれていた。なお,そのAOPSが今年のリムパック演習 に参加すると報じられている。
ベルギー国防省は,オランダとベルギーが共同で進めている掃海艦建造計画 に遅延が生じていることを明らかにした。主な原因は,COVID-19のパンデミッ クと,ウクライナでの戦争に起因する資材調達の困難。 ベルギー向けの1番艦オーステンデOostende(M940)は本年12月23日の引渡 しを予定していたが,8カ月の遅延が見込まれる。オランダ向けの1番艦ブリ シンゲンVlissingen(M840)は2025年6月の引渡しを予定していたが,これも 5~6カ月の遅延が見込まれる。続くベルギー向けのトゥールネーTournai (M941)とオランダ向けのスヘーヴェニンゲンScheveningen(M841)も,1~ 2カ月の遅延が見込まれる。それに続くベルギー向けブルッヘBrugge (M942)は予定どおりに,2026年12月に引渡しとなる見込み。
5月14日にフィンカンティエーリのリヴァ・トリゴーゾ造船所で,イタリア 海軍向け新型海洋観測艦(NIOM:Nave Idro-Oceanografica Maggiore)の起工 式が行なわれた。1975年に就役したアミラリオ・マニャーリAmmiraglio Magnaghi(A5303)の代艦。 また,5月18日にフィンカンティエーリのカステッランマーレ・ディ・スタ ービア造船所で,イタリア海軍向けの新型補給艦LSS(Logistic Support Ship)ことブルカノVulcano級の2番艦アトランテAtlanteが進水した。同級は フィンカンティエーリとレオナルドが合同で受注しており,アトランテは2025 年の引渡しを予定している。 5月25日にフィンカンティエーリのリヴァ・トリゴソ造船所で,イタリア海 軍向けFREMM(Fregate Europee Multi-Missione)フリゲイトの殿となる10番 艦エミリオ・ビアンキEmilio Bianchiが進水した。艦名は第2次大戦中に港湾 襲撃で活躍した海軍の潜水員にちなんでおり,その息女であるマリア・エリザ ベッタ
ドイツ海軍向けのK130型ことブラウンシュヴァイクBraunschweig級コルベッ トのうち,バッチ2の3隻目にあたるカールスルーエKarlsruheが進水した。 同級はNVLグループが主導,ティッセンクルップ・マリン・システムズ (TKMS)とドイツ造船所が参画するARGE K130コンソーシアムが主契約社。ま ず2008~13年にバッチ1の5隻が就役。続いてバッチ2として5隻の追加が決 まり,2017年9月に22億ユーロ(23億9,000万ドル)の契約を発注した。 そのバッチ2のうち,ケルン Köln(F265)とエムデンEmden(F266)が就役 済み,今回のカールスルーエは艤装に移行,さらにアウグスブルクAugsburgと リュベックLübeckが続く。ただし,指揮管制・武器管制のサイバー・セキュリ ティ問題から,スケジュールに遅れが生じている。
6月3日にNVLグループ傘下のペーネ造船所で,ドイツ海軍向け126型フリゲ イト1番艦の起工式が行なわれた。同級は4隻の建造を計画しており,2028年 半ばから2032年に納入する予定。建造は分業体制で,ペーネ造船所は後部,キ ールのドイツ造船所は前部の船体を製造,それをハンブルクのブローム・ウン ト・フォス(B+V)に搬入して接合するとともに,兵装やセンサー機器などの 艤装を実施する。
英海軍は23型フリゲイトのうち,アーガイルArgyll(F231)とウエストミン スターWestminster(F237)を退役させる方針。このうちアーガイルはBAEシス テムズに売却して,グラスゴーのクライドにある訓練施設(Clyde Shipbuilding Academy)で造船分野の訓練教材にする。一方,ウェストミンス ターはスクラップ処分とする。 このほか,オーストラリア海軍が5月18日に,アンザックAnzac級フリゲイ トのネームシップについて,西オーストラリアのスターリング基地で退役式典 を挙行した。新造艦に予算を回すため,早期退役させることになったと伝えら れている。
グラント・シャップス英国防相が,5月14,15日に開催された海洋戦力に関 するカンファレンスの席で,英海軍の26型フリゲイトと31型フリゲイトに対地 攻撃能力を付与する構想を明らかにした。 このうち26型は,当初からMk41垂直発射システム(VLS)を搭載する設計だ が,すでに建造が進んでいる31型はVLSを持たないため,バックフィットを実 施する。ただし,そこに搭載するミサイルの機種は未確定。RGM-109トマホー クに加えて,欧州製のNSM(Naval Strike Missile)やFC/ASW(FCASWとも。 Future Cruise/Anti-Ship Weapon)を搭載する可能性もある。 また,イギリスでは国防費の対GDP比を2.5パーセントまで引き上げることで 財政的な裏付けが実現したのを受けて,潜水艦を含む艦艇28隻を建造する“ Golden Age shipbuilding”の推進を発表した。すでに計画が進行している, 26型や31型,アスチュートAstute級攻撃原潜,ドレッドノートDreadnought級 戦略原潜,新型補給艦FSS(Fleet Soli
タタールスタンのゼレノドリスクにあるゼレノドリスキー造船所で5月7日 に,ロシア海軍黒海艦隊向けの艦艇2隻が進水した。内訳はカラクルート Karakurt型(22800型)ミサイル艇が1隻と,22160型OPV(Offshore Patrol Vessel)の5番艦ヴィクトル・ヴェリーキーViktor Velikiy。 22800型は4隻が就役しているが,そのうち1隻はケルチでウクライナ軍の 攻撃によって大破,残り3隻は極東方面に配備されている。さらに12隻を建造 中で,2024年中に3隻の納入を見込んでいる。
米コースト・ガードがボリンジャー造船所に,センチネルSentinel級こと FRC(Fast Response Cutter)2隻を追加発注した。FRCは当初,アイランド Island級カッターの代替として65隻を建造するとの話だったが,今回の発注で 累計67隻に達している。単価は6,500万ドルとされる。 このほか,アラブ首長国連邦のコースト・ガードも,51メートル級OPV10隻 を4億ドルで発注した。建造を担当するのは,地元のエッジ・グループと伊フ ィンカンティエーリのジョイント・ベンチャー。フィンカンティエーリが伊コ ースト・ガード向けに建造した,サエテツィアSaettia級の発展型となる模 様。
米海軍の駆逐艦ズムウォルトZumwalt DDG-1000は2023年8月から,ミシシッ ピ州パスカグーラのハンチントン・インガルス(HII)インガルス造船所で入 渠整備(DSRA:Drydocking Selected Restricted Availability)を実施して いる。それに合せて,5月7日に155ミリAGS(Advanced Gun System)の砲塔 が降ろされた。これは,極超音速滑空飛翔体CPS(Conventional Prompt Strike)用の発射機を載せるスペースを捻出するため。
ロッキード・マーチンは5月20日に,ホワイト・サンズ・ミサイル試験場で 実施したPAC-3 MSE(Missile Segment Enhancement)弾道弾迎撃ミサイルの試 射について発表した。 本来,PAC-3 MSEは専用のトレーラー発射機を使用するが,今回の試射では 艦載用のコンテナ型発射機Mk70 PDS(Payload Delivery System)を使用,指 揮管制にはイージス武器システムを仮想化したVAWS(Virtualized Aegis Weapon System)を使用した。 これらの組合 せは初めて用いられたもので,PAC-3 MSEは巡航ミサイル標 的の迎撃に成功した。 VAWSは,アーレイ・バークArleigh Burke級駆逐艦で導入が始まっている仮 想化システムとは別物で,イージス武器システムの頭脳にあたる部分を仮想マ シンとして切り出し,可搬式の小型コンピューターで動作させる仕組み。イー ジス艦の現物を持ち込めない,たとえば内陸部の陸上で実施する試験に際し て,イージス武器システムの頭脳は欲しいといった場面で登場する。
5月8日に,フロリダ州マイアミで開催されたマイアミ艦隊週間を訪れたカ ルロス・デル・トロ米海軍長官は,ヴァージニアVirginia級攻撃原潜の38番艦 SSN-811について,マイアミMiamiと命名することを明らかにした。スポンサー は,当地出身のシャンソン歌手グロリア・エステファン氏が務める。同氏の父 親は陸軍軍人で,ベトナム戦争に出征していた。先代のマイアミは,ロサンゼ ルスLos Angeles級攻撃原潜のSSN-755。 5月22日には,アーレイ・バークArleigh Burke級駆逐艦の93番艦と94番艦 について,それぞれリチャードJ.ダンツィヒRichard J. Danzig DDG-143なら びにマイケルG.マレンMichael G. Mullen DDG-144と命名することが明らかに された。前者は第71代海軍長官,後者は第28代海軍作戦部長を経て第17代統合 参謀本部議長を務めた退役海軍大将にちなむ命名。
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