艦船ニュース
先月号「海上自衛隊ニュース」欄で既報のとおり,オーストラリア海軍の“Project Sea 3000”こと次期汎用フリゲイト(GPF:General Purpose Frigate)計画は,独ティッセンクルップ・マリン・システムズ(現TKMS)提案のMEKO A200案を退けて,日本が提案した三菱重工のFFM発展型が優先候補に選定された。価格や技術移転などの詳細について交渉を行なったうえで,2026年の契約締結を目指すとしている。 予定調達隻数は11隻。このうち1~3番艦は日本国内で,残り8隻は西オーストラリアのヘンダーソンで現地建造する計画となっている。このため,現地建造を担当する主体として,オースタルの傘下にオースタル・ディフェンス・シップビルディング(Austal Defence Shipbuilding Pty Ltd.)を新たに設立,豪政府も一部を出資することになった。(Australian DoD 2025/8/5,Australiandefence.com 2025/8/5)
TKMSエスタレイロ・ブラシール・スル(TKEBS:TKMS Estaleiro Brasil Sul)で建造している,ブラジル海軍向けタマンダーレTamandaré級フリゲイトの2番艦ジェロニモ・デ・アルブケルケJerônimo de Albuquerque(F201)が,8月8日に進水した。 1番艦タマンダーレ(F200)は近く公試に入り,2025年12月に就役する予定。さらに3番艦クーニャ・モレイラCunha Moreira(F202)は2028年2月,4番艦マリス・エ・バロスMariz e Barros(F203)は2029年2月の就役予定。(Jane's 2025/8/12)
台湾海軍は仏ラファイエットLa Fayette級をタイプシップとする康定Kangding級フリゲイト6隻を1996~98年に就役させたが,現在総額431億6,000万台湾ドルをかけて,毎年1隻のペースで全艦を近代化改修する計画を進めている。そのうち,6番艦承德Chente(PFG-1208)の工事が完了,試験航海を開始した。年内には艦隊に復帰する予定。 この改修では,後部上構に設置していたCastorⅡC対水上レーダー(Gバンド)を,BAEシステムズ製のARTISANに換装しているが,前部上構のDRBV-26DジュピターⅡレーダーはそのまま。また,前甲板に搭載していたRIM-72Cシー・チャパラル短SAMの発射機を撤去,国家中山科学研究院が開発した国産VLS華陽(華陽垂直発射系統)を設置,ここに国産SAMの海剣2N(TC-2N)32発を搭載する。(Naval News 2025/8/11)
タイは,いったんは棚上げしていたS26T潜水艦の調達計画を再始動する決定を下した。 もともと,2015年に中国からの提案を受けて,360億バーツ(10億ドル)で3隻の調達を決定,2017年5月に発注契約を締結,2019年9月に1番艦を起工していた。ところが,搭載予定だったMTU396ディーゼルの輸出をドイツが拒否。中国は代替案として自国製CHD620V16H6ディーゼルの搭載を提案したが,タイ側が「信頼性に懸念がある」として拒否。これが原因で,計画が暗礁に乗り上げていた。 そこで中国側では,タイが要求した検証試験を実施,6,000時間を超えるベンチ・テストを実施したことで,タイ側も納得した次第。また,中国側は2,470万ドルの支援を行ない,保証・整備支援の期間を延伸するなどの措置をとる。現時点で1番艦の工程進捗率は64パーセントとなっており,ここから建造を再開すると,当初予定の2023年から5年ほど遅れて,2028年末の引渡しとなる見込み。(Defense News 2025/8/21)
8月26日にヴィシャーカパトナムで,インド海軍のニルギリNilgiri級ミサイル・フリゲイト(17A型)2,3番艦の就役式典が挙行された。1月に就役したネームシップ(F33)に続くもので,2番艦ヒムギリHimgiri(F34)はコルカタのガーデン・リーチ造船所(GRSE),3番艦ウダイギリUdaygiri(F35)はムンバイのマザゴン・ドック造船所(MDL)での建造。配備先はいずれも東部方面艦隊。同級はMDLで4隻,GRSEで3隻を分担建造しており,残りの艦も2026年半ばまでに就役させる計画。(Naval News 2025/8/27)
トルコ軍の装備部門SSBが8月15日に,ロケットサンが手掛けている国産艦対空ミサイルのヒサルD(Hisar-D)の試射実施について明らかにした。場所は黒海,使用した艦は国産フリゲイトのイスタンブールİstanbul(F-515)。同艦が装備するアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーCENK 400-Nでターゲットを捕捉して,射撃指揮レーダーAKREP 300-Nで追尾を実施,ロケットサン製VLSの“Midlas”からヒサルDを発射した。 ヒサルDは同名の地対空ミサイルの艦載版で,艦載化に際して画像赤外線誘導をレーダー誘導に改めた。中間誘導には国産データリンクGÜDÜ 200-MGを使用する。射程は25キロ程度とされる。(Jane's 2025/8/19)
カナダ政府は8月26日に,ヴィクトリアVictoria級を代替する新型潜水艦の調達計画CPSP(Canadian Patrol Submarine Project)の優先候補を,ドイツのTKMS(旧ティッセンクルップ・マリン・システムズ)と,韓国のハンファ・オーシャンに絞り込んだと発表した。この後は,契約締結に向けた折衝を両社と進めるとしている。選に漏れたのは,ネーバル・グループ,ナバンティア,コックムスである。(Naval News 2025/8/26)
英海軍で用途廃止になったサンダウンSandown級機雷掃討艇の7番艇ペンブルックPembroke(M107)がルーマニア海軍に引き渡されて,再就役した。新しい艦名はカピタン・コンスタンティン・ドゥミトレスク Capitan Constantin Dumitrescu(M217)。引渡しと再就役の式典は,スコットランドのロシスで行なわれた。 同級11番艦のブライスBlyth(M111)もルーマニアに引き渡されており,こちらは2023年9月に再就役済み。新たな艦名はスブロコテネント・イオン・ギクレスクSublocotenent Ion Ghiculescu(M270)である。(Royal Navy 2025/8/5)
ノルウェーは8月31日に,現用のフリチョフ・ナンセンFridtjof Nansen級フリゲイトに代わる次期水上戦闘艦として,英26型の採用を決定したと発表した。予定調達隻数は5隻,2030年から納入を始める計画。 選に漏れたのは,フランスのFDI,ドイツの126型,アメリカのFFG(X)。(Norwegian MoD 2025/8/31,Naval News 2025/8/31)
MBDAが,シー・ヴェノム空対艦ミサイルの艦上発射型について,ポテンシャル・カスタマーとの接触を開始したことを明らかにした。高速戦闘艇やUSVへの搭載,車載化しての沿岸防衛といった用途を想定している。 シー・ヴェノムはもともと,英海軍が“Future Anti-Surface Guided Weapon(Heavy)”(FASGW〈H〉)計画の下で開発した小型の空対艦ミサイルで,現在はワイルドキャットHMA.2ヘリコプターに搭載している。重量110キロ,弾頭は30キロの半徹甲爆風破片弾頭で,双方向データリンク付きの画像赤外線誘導を使用する。 なおMBDAでは別途,ブリムストーン空対地ミサイルの艦上発射型も構想しており,IMDEX Asia展示会で模型展示を実施していた。ブリムストーンはAGM-114ヘルファイアと同規模のミサイルで,ユーロファイター・タイフーンが搭載している。それをソフトウェアの変更によって艦載化するとの説明。(Jane's 2025/8/5)
独ティッセンクルップは事業見直しの一環として,傘下造船部門のティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS:Thyssenkrupp Marine Systems AG)のスピンオフ(株式公開)を決定。株主による承認も取り付けた。 新会社TKMS AG &Co. KGaAを設立,株式の49パーセントを外部に公開し,ティッセンクルップが過半の51パーセントを保有する。ドイツ政府が一部の株式を保有するとの話も出たが,これは実現していない。(Naval News 2025/8/9)
米海軍はSCEPS(Stored Chemical Energy Propulsion System)という計画名称で,魚雷用新推進システム関連の研究開発を進めている。担当メーカーは,L3ハリス・テクノロジーズ傘下のエアロジェット・ロケットダイン。 これは,リチウム・ボイラーを使用する次世代版の魚雷用推進機開発計画で,化学反応によって生成したガスでタービンを回す仕組み。SCEPSはすでに動力システム単体での試験が完了しており,開発した動力システムは,MK54 Mod2インクリメント2短魚雷(ALWT:Advanced Lightweight Torpedo)に組み込んで試験に供する計画。システム一式の状態での検証試験は,年末に実施する予定。(L3Harris Technologies 2025/8/1)
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