2020年に日本で建造された話題の船舶の中から,技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考し与えられる「シップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2020」は,5月11日にウェブ会議形式で選考委員会が開催され,予備審査を通過した10隻のうち,大賞のほか部門賞(小型客船,小型貨物線,漁船・調査船,作業船・特殊船)各1隻を選定した。授賞式は7月9日に行なわれる。 ◇シップ・オブ・ザ・イヤー2020 LNG燃料自動車運搬船「Sakura Leader」(サクラ・リーダー) 新来島豊橋造船で10月28日に竣工した国内初建造の大型LNG燃料船。日本郵船の所有運航でトヨタ車などの完成車輸送に従事している。LNG燃料化により輸送単位あたりのCO2排出量を2008年建造船比40パーセント以上削減したほか,日本海事協会より,先進的デジタル技術導入船に付与される船級符号「デジタル・スマート・シップ」(DSS)を世界で初めて取得し,環境とデジタル化の取組みが評価された。72,285総トン,垂線間長196.0メートル,幅38.
中国の天津新港船舶重工で建造されているマーシー・シップスの新造病院船グローバル・マーシーGlobal Mercyが,5月10日試運転を完了した。今夏の引渡し後アントワープに回航して医療機器の搭載や乗員補充を行ない,ロッテルダムでの披露を経て2022年初頭には西アフリカで医療業務に従事する。36,600総トン,全長174.1メートル,幅28.6メートル,主機ディーゼル・エレクトリック,航海速力12.0ノット,搭載人員950人(うち641人が医療スタッフを含む乗組員),船籍はマルタ。船内には病床200,手術室6室や実験室,外来診療所,眼科・歯科医院のほか,医療トレーニング用機器やスタッフ用施設(学校や幼稚園を含む)が揃う。病院船による医療提供NGOマーシー・シップス(1978年設立)が運営し,無料の医療提供に加え地域医療スタッフの養成なども実施する。なおこのプロジェクトではスウェーデンのステナROROが主導的役割を担っている。 (STANA RORO)
2019年の商業捕鯨再開後,わが国で唯一母船式捕鯨を実施している共同船舶は5月10日,調査捕鯨時代から使用してきた現有の捕鯨母船日新丸(8,145総トン,1987年竣工,元筑前丸)の代船を建造すると発表した。捕獲したクジラを船上で加工しやすくするなど,商業捕鯨に適した仕様とし,将来的にEEZ外での操業拡大も視野に入れ,大型のナガスクジラの捕獲にも対応,南極海にも行ける航続距離を確保する。建造費の60億円は借入れやクラウドファンディングで調達し,2024年3月の竣工を目指す。 (共同船舶)
米ホランド・アメリカ・ライン(HAL)の新造船ロッテルダムRotterdamの海上公試が5月6日までに終了し,建造所のフィンカンティエーリ造船所マルゲラ工場に戻った。最終工程を経て7月30日に引き渡される見通し。HALの次世代船「ピナクル・クラス」の3番船で,99,800総トン,船客2,668人,多彩な旅客設備が造られている。船名は当初予定のリンダムRyndamから変更され,同社伝統の7代目となった。 (HOLLAND AMERICA LINE)
スペイン・カナリア諸島に本拠を置くフレッド・オルセンの高速カーフェリー,バニャデロス・エクスプレスBañaderos Expressが4月27日,豪オースタルのフィリピン工場で進水した。118メートル型トリマランで,航海速力38ノット,船客定員1,100人,乗用車276台を積載し,バーやショップ,キッズルームなどを備えている。来たる9月からグラン・カナリア島とテネリフェ島を結ぶ航路に就航する。昨年7月に竣工したバハマール・エクスプレスBajamar Expressの姉妹船で,建造費は2隻で1億9,000万豪ドルとされる。 (AUSTAL)
スペイン,バレアリアの高速カーフェリー,エレノア・ルーズヴェルトEleanor Rooseveltが4月27日,スペインのアルモン造船所で竣工し引き渡された。豪船舶設計会社インキャット・クロウザーの125メートル型カタマランで,全長123メートル,航海速力35ノット,船客1,200人,乗用車450台を積載する。二元燃料機関を4基搭載し,LNG燃料で駆動する。建造費は9,000万ユーロとされる。5月1日からスペイン本土とイビザ島,パルマ島を結ぶ航路に就航した。 (INCAT CROWTHER)
スウェーデンのステナRoRoのステナ・ノヴァStena Novaが,フィリピンのチェルシー・ロジスティクス&インフラストラクチャー・ホールディングスに売却され,3月9日フィリピンに到着した。フィリピンのフェリー船社2GOの運航で国内航路に就航する模様だ。同船は元阪九フェリーの“やまと”(13,353総トン,船客定員667人,トラック229台,乗用車138台積載,2003年竣工)で,2019年2月にステナが買船(阪九フェリーが2020年3月上旬まで運航)し,その後新型コロナウイルスの影響によりマレーシアで係船されていた。ステナはヨーロッパでの使用を見込んでいたが,新型コロナによる需要変化で新たな運航先を探していた。 (阪九フェリー)
北大西洋横断定期客船として知られるユナイテッド・ステーツUnited Statesの保存団体(SS United States Conservancy)が,ホームページで無料のデジタル展示会を4月から行なっている。タイトルは「ADVERTISING THE UNITED STATES」。「印刷物,ポスター,広告を通してアメリカのフラッグシップ“ユナイテッド・ステーツ”を発見する」という副題がついている。「舞台としてのユナイテッド・ステーツ」「ジェット機時代の航海」などのテーマごとに紹介,ショップもありTシャツなどを通販で購入できる。公開は8月までの予定とされる。ユナイテッド・ステーツは1952年に就航し,1969年に引退した。その後,復活や転用の話が出ては消えしたが実現せず,2011年から団体が所有して保存活動を続けている。 (UNITED STATES CONCERVANCY)
米疾病対策予防センター(CDC)は4月28日,米発着クルーズの再開要件をクルーズ船社に対して示し,早ければ7月中旬にも再開が可能だとした。CDCが再開のための条件付き航海命令(CSO:Conditional Sail Order)の内容を更新し,乗組員の98パーセントと乗客の95パーセントがワクチン接種を受けていることなど5項目を条件として示した。要件を満たせばボランティアを乗せた事前の模擬航海などは不要になる。これまでに比べてハードルが下がり,再開へ向けて前進した。CDCが船社に求めるCSOは昨年10月に公表され,今年4月2日に更新されたものの,負担が大きすぎて実行不可能として,業界団体のCLIAやフロリダ州の議員などが解除を要求していた。
英キュナード・ラインは2023年に世界一周クルーズ継続就航100周年を迎えることから,クイーン・メリー2Queen Mary 2(QM2)とクイーン・ヴィクトリアQueen Victoria(QV)による「100周年記念ワールド・クルーズ」を実施する。QM2は102泊,QVは101泊でアジア,北米,オーストラリア,中東など各地をめぐる。特別なイベントやパーティーなど,100周年に相応しいプログラムが組まれている。全行程乗船のほか,2泊から40泊の区間乗船も設定する。 (CUNARD LINE)
英キュナード・ラインはクイーン・エリザベスQueen Elizabeth(QE)による日本周遊クルーズを2022年,2023年に実施する。日本発着初の試みとしてショート・クルーズとテーマ・クルーズを組んだ。いずれも横浜発着で,22年は4月13日~5月17日に4本行ない,4月22日~5月1日の「春の沖縄・台湾リゾート10日間」を基隆下船・乗船のショート・クルーズとしても販売する。また,5月8~17日の「新緑の日本周遊と韓国10日間」は“ベスト・オブ・ブリティッシュ~英国ミュージック&ビートルズ”と題してUKポップスやロック,映画などさまざまなイベントを繰り広げるテーマ・クルーズとしている。23年は4月19日~5月24日に4本行ない,4月19~28日の「新緑の日本周遊と韓国10日間」を釜山下船・乗船のショート・クルーズとしても販売する。
東京港の遊覧船,御座船 安宅丸が,5月31日で運航を終了する。定期クルーズの最終日は5月29日となる予定。同船は両備ホールディングスの瀬戸大橋観光船“御座船 備州”(486総トン,船客定員377人,1986年竣工)を改名し,2011年に東京に投入。東京都観光汽船が用船運航して日の出桟橋発着の港内航路を運航していた。外観は江戸時代の御座船を模しており,夜のコースでは“和”をテーマにしたショーを観覧しながら飲食でき,外国人観光客の集客にも重きを置いた。2017年3月に工業デザイナー水戸岡鋭治氏により船内外を改装している。 (編集部)
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