商船三井と大島造船所が中心になり開発した硬翼帆式風力推進装置「ウインドチャレンジャー」を搭載した世界初の撒積船(石炭船)松風丸が,10月7日大島造船所で竣工し,オーストラリアや北米などからの東北電力向け石炭輸送に就航した。搭載する硬翼帆はFRP製,高さ最大約53メートル,幅約15メートルの4段式。従来の同型船に比して日本~豪州で約5パーセント,日本~北米西岸では約8パーセントのGHG削減効果を見込む。なお本船は貨物ホールドをダブルハル構造とし,その形状をセミボックスシェイプ型とした次世代石炭船「EeneX」シリーズの4番船に当たる。58,209総トン,100,422重量トン,全長約235メートル,幅約43メートル,深さ約20メートル,主機三井MAN B&W 6S60ME-C10.5-EGRBP型ディーゼル1基,1軸,定員25名,船籍は日本の能代(出力,速力は非公表)。ほかにSOxスクラバーなど環境負荷低減策も設置した。船名の「松風丸」は秋田県能代市の日本最大規模の防砂林「風の松原」と,ウインドチャレンジャーの「風」
バルト海のゴトランド島航路で運送事業を行なうスウェーデンのゴトランド社は,去る10月5日,世界で初めてとなる水素燃料の大型カタマラン高速フェリー計画ゴトランド・ハイドロキャットGotland Hydrocatを発表した。船客1,650人,乗用車450台を搭載し,航海速力35ノットで同島と本土間を2時間50分で結ぶ。有力カタマラン建造造船所の豪オースタル社とゴトランド社が提携して開発,2025年までに発注し,2030年の就航を目指している。同社では2021年12月に水素燃料の大型カーフェリー,ゴトランド・ホライズンGotland Horizonを発表(2022年3月号「内外商船ニュース」既報)し,次世代船コンセプトを「ホライズン・シリーズ」と称しており,今回のカタマランはその2隻目に当たる。水素を主要燃料に設定しているが,他のさまざまな非化石燃料も視野に入れているという。 (GOTLANDSBOLAGET)
バレアレス諸島航路などを運航するスペインのフェリー船社バレアリアの新船,カップ・デ・バルバリアCap de Barbariaが,去る9月28日,同国アルモン・ビーゴ造船所で進水した。全長82メートル,幅15.5メートル,速力14ノット,船客390人,トラック換算14台を積載する両頭型フェリーで,リチウム・イオン電池を搭載したスペイン初の電動カーフェリーとなり,脱炭素化プロジェクトの一環として水素燃料システムの設置も考慮した設計とされた。2023年初夏からバレアレス諸島のイビザ島~フォルメンテーラ島を1時間で結ぶ航路に就航する予定。船名はフォルメンテーラ島南端の岬の名前。 (BALEÀRIA)
韓国の造船大手,大宇造船海洋の再建を主導する政府系の韓国産業銀行は9月26日,大宇造船と韓国財閥ハンファ・グループが2兆ウォン(約2,010億円)の有償増資を含む条件付き投資合意書(MOU)を締結したと発表した。これによりハンファは大宇株式の49.3パーセントを取得して経営権を確保し,大宇はハンファ・グループに入る見通しである。ただしより高条件での買収機会を提供するため,ハンファと仮の投資契約締結後,公開入札を通じて最終契約を交わすことになっている。当初,同じ造船大手現代重工による買収が進められていた大宇造船海洋の再建は,EU当局がこれを許可しなかったため頓挫し,産業銀行が民間の引受け先を探していた。 (DSME)
カーボン・ニュートラルに向けた取組みが世界的に進む中,去る9月ノルウェーの新興クルーズ・ベンチャー企業ノーザン・エクスプローラーとポルトガルのウエスト・シー造船所は,世界初のゼロエミッション・クルーズ船の建造について基本合意書(LoI:Letter of Intent)を交わした。ABB(スイス)の水素燃料電池とバッテリーを組み合わせた電気推進システムを搭載し,補助的に風力や太陽光発電も利用,排ガスなしの航行を可能とする。船客定員は250名で,デザインはノルウェーのマルチ・マリタイム社が手掛けた。ウエスト・シー造船所のヴィアナ工場で建造され,2025-26年クルーズ・シーズン開始時期の引渡しを目指している。同所ではミスティック・クルーズの探検船ワールド・エクスプローラーWorld Explorerクラスを連続建造しており,去る10月にその4番船が竣工した。 (MULTI MARITIME)
各種報道によると,防衛省で検討中のイージス・システム搭載艦について,当初計画の基準排水量約20,000トンから“まや”型イージス護衛艦(基準排水量8,200トン)と同程度へと艦の規模を縮小する方向で検討が進められているという。 これは日本海における弾道ミサイル対処だけでなく,多用途性を付与し,沖縄近海などで他の護衛艦部隊との協同運用も考慮したものとされる。このため,全長約210メートル,幅約40メートルの高速発揮に不利な船型から,より機動性を重視した“まや”型と同規模の船型への変更を考えているという。 なお,この船型縮小案でも防衛上必要な能力を確保できるとされ,さらにトマホークSLCMの搭載も検討中とされる。 本型が搭載する多機能レーダーはSPY-7(V)1であるが,アンテナ直径は当初計画のまま(SPY-1Dの約1.5倍)でいくのか,SPY-1Dと同程度に縮小するのかは明らかではない。 イージス・システム搭載艦は「“まや”型DDGのSPY-7搭載版」という印象であるが,本型の自衛隊における運用構想はいまひとつ明確ではなく,今後の動向に注目したい。
各種報道によると,防衛省は反撃能力の一環として,アメリカのトマホークSLCMの導入を検討中である。海自のイージス艦を改修のうえ,VLSに搭載,発射する構想とされる。
11月11日,第64次南極地域観測協力のため,砕氷艦“しらせ”が東京を出港した。行動期間は11月11日~翌年4月10日。南極における支援の内容は,艦上観測支援,野外観測支援,基地設営支援。
10月13日および19日,海上自衛隊と海上保安庁は以下のとおり共同訓練を実施した。 ▷10月13日,日本海で重要施設に向かう不審船を想定した対処訓練。参加部隊は,海自が大湊地方総監部,護衛艦“しらぬい”,海保が2管本部,巡視船艇4隻,固定翼航空機。 ▷10月19日,東シナ海で重要施設に向かう不審船を想定した対処訓練。参加部隊は,海自が佐世保地方総監部,護衛艦“さわぎり”,ミサイル艇“おおたか”,SH-60K哨戒ヘリコプター,海保が7管本部,巡視船3隻。
10月11日~11月28日,海上自衛隊は以下のとおり各国と共同訓練を実施している。 ▷10月11~18日,スールー海で米豪比主催共同訓練(Exercise SAMASAMA/LUMBAS 2022)に参加した。参加部隊は,海自が護衛艦“きりさめ”,US-2救難飛行艇,米海軍が駆逐艦1隻,対潜哨戒機,豪海軍が駆逐艦1隻,補給艦1隻,フィリピン海軍がフリゲイト1隻,固定翼機,フランス海軍が固定翼機,英海軍が哨戒艦1隻。主な訓練項目は捜索救難訓練,洋上補給。 ▷10月19~21日,南シナ海で日米共同訓練(ノーブル・フュージョン22)を実施。参加部隊は,海自が護衛艦“きりさめ”,米海軍が沿海域戦闘艦1隻。訓練項目は各種戦術訓練。 ▷10月26~27日,日本周辺の太平洋上で日米共同訓練を実施。参加部隊は,海自がP-1哨戒機,米海軍がP-8A対潜哨戒機。訓練項目は情報交換訓練,対潜戦訓練。
11月6日,海上自衛隊創設70周年を記念して,令和4年度国際観艦式が相模湾で挙行された。参加規模は,海自が艦艇20隻,航空機6機,陸自が航空機5機,車両等(輸送艦に搭載),空自が航空機17機,海保が巡視船1隻,外国海軍が艦艇12カ国18隻,航空機が2カ国6機であった。 なお,10月29日~11月13日をフリートウィークと称し,艦艇一般公開などのイベントが催された。11月7および8日には,横浜で第18回西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)が27カ国の参加によって開催されている。
11月8日,令和4年度(2022年度)補正予算案が閣議決定された。防衛省計上の同年度第2次補正予算額は,4,464億円である,その主な内容は,災害への対処能力の強化に96億円,インフラ基盤の強化に259億円,生活・勤務環境の改善に77億円,自衛隊等の変化する安全保障環境への対応に3,248億円である。
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